強迫性障害(OCD)の治療法には、大きく分けて薬物療法と認知行動療法(CBT) があります。個人によって効果が異なるため、症状や状況に応じて適切な治療法を組み合わせることが一般的です。
1. 薬物療法

主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が使われます。SSRIは脳内のセロトニン濃度を調整し、強迫症状を和らげる効果があります。
- 主なSSRI
- フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ゾロフト)エスシタロプラム(レクサプロ)
- その他の薬
- 三環系抗うつ薬(クロミプラミンなど)
- 抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン)— SSRIと併用する場合も
2. 認知行動療法(CBT)

OCDの治療において、特に効果が高いとされるのが曝露反応妨害法(ERP: Exposure and Response Prevention)です。
- 曝露反応妨害法(ERP)
- 不安を引き起こす状況に段階的に直面し、強迫行為を行わずに不安を耐える訓練をする
- 例: 手洗い強迫がある場合、汚れたものに触れても手を洗わずに耐える
- 認知再構成
- 「もし〇〇しなかったら大変なことが起こる」といった思考の偏りを修正
- 「本当にそんなに危険なのか?」と現実的な考え方に変えていく
3. マインドフルネス療法

マインドフルネス療法は、「今、この瞬間」に意識を向けることで、不安やストレスを軽減する心理療法です。過去の後悔や未来の不安にとらわれず、「今の自分の状態」を受け入れることで、心を落ち着かせます。
もともとは仏教の瞑想をベースにしていますが、現代の心理学や医学にも取り入れられ、うつ病、不安障害、強迫性障害(OCD)、ストレス対策などに効果があるとされています。
OCDの人は、「不安な考えが浮かんだら、それを何とかしなければ」と考えがちですが、マインドフルネスでは 「考えをそのまま流し、反応しない」ことを学びます。
(例)
❌ 「この考えが浮かんだから、何か悪いことが起こる!」(強迫観念)
⬇
✅ 「ああ、またこういう考えが浮かんできたな。でも、それはただの考えにすぎない」(マインドフルネス的思考)
このように、「考え=現実ではない」と気づく練習をすることで、強迫行為を減らすのに役立ちます。
マインドフルネス療法の主な方法
1. マインドフルネス瞑想
- 目を閉じて、自分の呼吸に集中する
- 考えが浮かんでも否定せず、「今、こういうことを考えているな」と認識し、再び呼吸に意識を戻す
- 1日5分〜10分から始める
2. ボディスキャン
- 仰向けになり、足の先から頭のてっぺんまで、順番に体の感覚に意識を向ける
- 「今、自分の足はどんな感じがする?」と気づくことが大切
3. マインドフルな食事
- 食べ物の味、香り、食感をしっかり感じながら食べる
- 「ただ食べる」ことに集中し、スマホやテレビを見ながら食べるのをやめる
4. マインドフルウォーキング
- ゆっくり歩きながら、足が地面につく感覚や周囲の音、風の感触に意識を向ける
4. 生活習慣を整える
OCDはストレスで悪化しやすいため、心身の健康を保つことが重要です。
・睡眠をしっかりとる(6〜8時間)
・適度な運動をする(ウォーキングやヨガなど)
・バランスの取れた食事(栄養不足はメンタルに影響)
・マインドフルネスや瞑想を取り入れる(不安を和らげる)
まとめ
強迫性障害(OCD)の治療法をまとめると、
治療は時間がかかることもありますが適切なアプローチを続ければ症状の改善が期待できます。気になる場合は、専門医やカウンセラーに相談してみるのが良いでしょう。
OCDは適切な治療で改善できる病気です! 無理せず、少しずつできることを試してみましょう。
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